1. 仮説・問いの流れ
最終目的は、先物の方向ポジションで費用・リスク込みの価値を得ること。今回の仮説は、そのための情報が「将来の決済フロー」を通じて現れる、と考える。
仮説の接続と、現在の答え 模式図・矢印は検証する関係
市場で起きる現象を、事前に予測できるか
ここからは、予測を自分の行動へ変換する設計市場の説明と、売買の使い方を分ける
ロングの積極的決済は売り、ショートの積極的決済は買いになる。ただし、決済の売りを予測できても、反対の買いや新規建玉が吸収すれば価格は下がらない。このため、決済予測と価格予測を別の命題にしている。
検証記録:図の対象・用語・期間
- 原研究:lightweight-v4。HyperliquidのETH・SOL、判断時点の建玉額が10万USD以上の観測建玉。取引しなかった秒も対象。
- 「積極的決済」:原研究のtaker側の建玉削減。成行注文という注文種別や、本人の意図を識別した意味ではない。強制決済を含む全原因が対象。
- 原期間:UTC 2026-06-14以上、2026-09-06未満。56日学習・14日検証・14日最終比較。最後の期間は既に見た期間の比較で、未使用の確認ではない。
- 時刻:過去の確定済みsourceイベントを使う1秒グリッド。実受信・発注・約定の時刻は未観測。
- 図は原研究の予測経路。P1〜P4の区分は今回の説明用IDで、過去の実験名ではない。
2. 各接続を、検証できる命題にする
単に箱を矢印で結ぶだけでは足りない。各接続に「何と何を比べるか」「何を測るか」「結果で何を判断するか」を付ける。
P1 · 建玉状態 → 将来の決済
損益・保有時間などを使うと、決済の予測は改善するか?
- 測るもの:決済の発生確率の誤差、確率の校正、期待決済量の誤差。
- 成立を支持する結果:同じ将来期間・同じ対象で、状態ありの予測誤差が小さく、その差に十分な支持がある。
- 判断が変わる点:状態がどの側・どの対象の予測に追加情報を持つかを絞る。
原結果:部分的な支持 SOLの売り側では状態削除より発生・期待量の予測が改善。一方、全側・全指標で改善したわけではない。
検証記録:対象・比較・判定
- 単位:観測建玉×秒。対象は今後10秒のtaker決済の発生と量。繰り返し観測を独立した注文数とはしない。
- 表現:深さ3の頻度木と、決済発生時の削減比率を予測する木。発生確率×条件付き比率×判断時点の建玉量で期待量を作る。
- 比較:23入力のfullと、損益・保有時間・経路の8列を除いたno_state。直近増減・決済履歴は両者に残る。定数との比較は別に行った。
- 指標:発生はlogloss/Brier、期待base量は平均二乗誤差/平均絶対誤差。確率校正も確認。
- 判定:基準の誤差−候補の誤差。原仕様の95%日単位区間が正なら支持、上端が0以下なら支持されない、0を跨ぐ・支持不足なら判断不能。指標・側ごとに判定する。
- 原結果:ETHの決済予測/SOLの決済予測。
P2 · 口座の予測 → 市場の決済フロー
個々の予測を合計したとき、買い・売りと差引き量も正確か?
計算上の集計と、精度の検証は別 模式図各口座の期待決済USD量 = 決済確率 × 決済時の期待削減比率 × 現在の建玉USD額
差引き決済の予測を、実際に発生した差引き決済と比較する
- 測るもの:同じ時刻に集計した、将来の買い・売り・差引き決済USD量の誤差。
- 成立を支持する結果:状態ありの集計予測が、状態を除いた集計予測より正確になる。
- 判断が変わる点:一部の口座や片側の改善が、市場全体の方向圧力へ移るかを確認する。
原結果:銘柄で異なる 差引きドル決済はETHで状態削除より改善、SOLは判断不能。ETHも定数基準との比較は判断不能だった。
検証記録:集計誤差と見落としやすい点
- 単位:対象建玉を集計した時刻×銘柄、将来10秒のUSD量。全対象の正解が既知の時刻で評価し、欠損を決済ゼロにしない。
- 比較:full/no_state/学習期間だけから作る定数予測。買い・売り・差引きそれぞれの平均二乗誤差等、95%日単位区間。
- 発生確率と条件付き量から期待量を作る計算は整合的でも、推定の誤りは残る。大口の量誤差、買い売りの相殺があるため、口座平均の発生精度だけでは集計精度が決まらない。
- この集計は選定建玉の決済のみ。全ての新規注文・板の供給を予測するものではない。
- 原結果:合計ドル決済の比較。
P3 · 決済圧力 → 追加の価格情報
決済圧力を加えると、既存情報だけより将来価格を読めるか?
A:既存情報のみ価格・出来高・匿名フロー
+建玉総額・含み損比率
同じ10秒リターンを予測B:既存情報+予測圧力Aと同じ情報
+差引き期待決済USD/直近60秒出来高
- 測るもの:同じ評価時点での価格予測誤差の差。予測の強さ・校正・時間経路は、利用方法を考える診断にもなる。
- 成立を支持する結果:BがAより改善し、その差が不確実性を考えても正。圧力を状態抜きで作ったCとの比較は、別の追加価値を測る。
- 判断が変わる点:決済を読めるだけでなく、既存の価格情報を超える方向情報になっているかを確認する。
原結果:判断不能 ETH・SOLとも、価格誤差の追加改善は確認できなかった。誤差差の区間はゼロを跨いでいる。
検証記録:価格モデルと比較条件
- 対象:strict-priorの約定価格を基準にした10秒リターン。実約定やmidの予測とは区別する。
- モデル:過去だけで学習した決済予測を、後半28日の4週の時系列予測として保存し、その予測圧力からRidgeの価格モデルを学習。
- Aの入力:価格リターン1/10/60秒、60秒変動、出来高10/60秒、匿名signed flow、long/short建玉総額・含み損比率。Bは予測圧力を追加。Aは「建玉情報が一切ない」モデルではない。
- 比較:A対B、B対状態削除圧力のCなどを、同じ時刻・対象期間で評価。原primaryはAのMSE−BのMSE、97.5%日単位区間。10日以上の支持など原仕様の条件を保持。
- 将来価格の欠損や過去ラグの有無は予測評価の条件。未来が測れないことを、その時刻で取引しなかった判断へ置き換えない。
- 原結果:価格への追加価値。
P4 · 予測の利用 → 費用後の成果
その情報を使うことで、実際の売買方針は改善するか?
情報を追加しない戦略予測A → 注文 → 口座損益
同じ資本・費用・評価期間
- 測るもの:同じ暦期間の費用後口座損益とリスクの差。利益の評価指標と制約は、候補を選ぶ前に固定する。
- 成立を支持する結果:開発区間で選んだモデル・売買ルールを未使用期間へ適用し、情報追加の改善が残る。
- 判断が変わる点:予測情報を売買へ採用するか、利用方法を見直すかを判断する。
完全な比較は未実施 原研究は一つの固定ルールの条件付き参照損益まで。ルール選択・完全な口座経路・新しい未使用期間での確認は行っていない。
検証記録:既に測ったこと/今後の比較案
- 既存ルール:10秒リターン予測が+9bpを超えるとlong、−9bpを下回るとshort。1万USD、一銘柄一ポジション、10秒固定保有、重複エントリーなし。
- 既存費用:過去1秒以内の約定価格を参照し、往復9/12/20bpを控除。0/250/1000msはsource時計の感度で、実受信/約定遅延ではない。端点欠損intentは保持。
- 原結果:SOLはfull/controls/no_stateで同じ10件を選択。正の参考平均でも圧力追加の改善ではない。ETHの追加intentには端点欠損があり、全intentの経済価値は判断不能。
- 今後の設計案(未実施):同じルールでの情報追加比較に加え、両側を同じ探索条件で調整した比較を行う。予測モデルの設定も必要に応じて含める。
- 目標関数・閾値候補・保有方式・費用モデル・最低支持など、新規比較の数値条件は未固定。開発区間で固定してから未使用の後続期間へ進む。今回の図の作成では選ばない。
- 原結果:条件付き参照売買。
3. 今回、論理のどこまで届いたか
途中の一部には追加情報があったが、価格への追加価値と、採用に足る費用後利益は確認されていない。
P2:差引き決済ETHは状態削除より改善
SOLは判断不能
以下は原結果の再表示。既存情報のみの価格モデルに決済圧力を加えたときの、平均二乗誤差の改善を描く。右側ほど改善、左側ほど悪化。
価格予測への追加価値:点推定と97.5%日単位区間 実測・原結果の再表示
両銘柄の点はゼロの左、区間はゼロの右まで延びる。平均値は悪化方向だが、改善・悪化を識別するには不確実性が残り、「情報がない」と確定した結果ではない。
ETH 66,131時点/SOL 41,321時点、各14日の同時刻比較。入力・価格を測れる時間が限られた範囲の結果。原レポートの比較条件・区間を保持しており、新たな再推定ではない。
検証記録:原数値と成果の限界
- ETH:AのMSE−BのMSE = −9.74063434×10⁻¹¹、区間 [−4.16039279998231×10⁻¹⁰, +1.6636039878017053×10⁻¹¹]。
- SOL:差 = −1.07222168×10⁻¹¹、区間 [−4.584709152699973×10⁻¹¹, +1.7509318111225775×10⁻¹¹]。
- グラフの単位はリターンMSE差×10⁻¹⁰、利益やbpそのものではない。
- 最終14日には1,209,600秒あるが、予測decisionは各184,621時点。価格のpaired比較はその一部。SOLの片側の改善を、全時計・価格・利益の支持へ拡張しない。
- 既に見た最終期間、参照価格は実約定ではないこと、ETHの損益端点欠損が、運用採用の判断を制限する。
4. 洞察:管理文書には何を残すか
今回の例で重要なのは、仮説の各つながりを、観測できる命題へ落とすこと。「決済は当たったが方向にはつながらなかった」を、ひとまとめに失敗とせず、次に調べる箇所を特定できる。
新しい戦略で、そのまま使う記載欄
① 最上位の目的どの判断を改善するか。最終の評価指標・資本・費用・リスク条件。
② 仮説から成果までの図観測情報 → 中間現象 → 最終予測 → 売買 → 成果。各接続へ命題ID。
③ 各命題の検証対象・単位・時刻・期間/対照/指標・効果量/支持・反証・判断不能の条件。
④ 答えと次の判断未検証・支持・支持されない・判断不能。原結果リンク/結果によって何を変えるか。
結果を見て図を直す場合は、当初版を残し、変更理由と根拠を追記する。このページは既存研究の現在の整理。新しい研究では、結果を見る前に初期版を固定する。
時間も三つの別欄で管理する決済の予測期間
どれくらい先のフロー?価格の予測期間
どれくらい先の値動き?実際の保有ルール
いつまで・何で閉じる?
原研究は三つとも10秒に置いた。一つの候補として評価した設定で、三つが一致すべきという規則でも、最適値の証明でもない。
Q&A
途中の予測モデルを、必ず全部作らなければならない?
いいえ。建玉状態から直接価格を予測する設計もある。ただし「決済フローを通じて効く」という説明をするなら、その命題を観測で検証するか、未確認と記す。直接予測との比較はこの原runでは未実施。
どこかの命題が支持されなければ、次の検証は禁止?
いいえ。価格情報の有無と、想定メカニズムの説明力は異なる問いなので、並行して調べられる。原研究でも、途中の指標が混在した状態で価格と参考売買を測っている。
売買が黒字なら、途中の命題も正しかったことになる?
ならない。既存の価格情報で選んだ取引が利益を生んだ可能性もある。今回のSOLは、決済圧力あり/なしで同じ売買になった。この場合、正の参照損益は圧力の追加価値を示さない。
根拠:建玉状態から決済を予測すると、価格判断と費用後の売買は改善するか(lightweight-v4原レポート)。この記載事項は戦略研究の事前設計ルールへ追加。原研究の仕様・数値・判定、既存ページは変更していない。